■控訴
■主張
■いずれ
いずれも抽象的な義務を主張す るにとどまっており,これらは,例えば被控訴人が公務員のメンタルヘルス ケアに関する施策を策定し,実施するに当たって考慮するべきであるとして も,その違反が直ちに国家賠償法上違法であるとまでいえるものではない。
(3) 控訴人ら主張の個別の言動等について さらに,控訴人らは,曹候いじめ等の背景の下に,Aに対するいじめが行 われたと主張するが,以下のとおり,控訴人ら主張の個別の行為についてみ ても,また,これらを総合しても,上官らに何ら指導等の目的を有しない違 法な言動があったとまでは認めるに足りない。
ア曹候いじめの主張について まず,一般的に,曹候出身者に対し,そうでない隊員から曹候いじめと いわれるような嫌がらせが行われる場合も,その利益状況に照らしておよ そあり得ないとまではいえないが,Aの上官,先輩らの中には曹候出身者 も少なくなく,これらの者については曹候いじめを行う状況にないことは 明らかである。
また,Aは,8月ころまでは,仕事に対する悩みや上官ら の厳しい言動について家族に話をしたようなこともなく,上官らの中に, 曹候出身者に対する妬み等があり,殊更Aに嫌がらせをしようとしていた 者があったのであれば,最もAの技能練度が低かったであろう乗艦当初か ら厳しい言動や嫌がらせをしていた可能性が高いが,Aの乗艦後,上記の 時期まではそのような形跡はないのであって,R1班長ないし上官らが殊 - 62 - 更に曹候出身者に対する嫌がらせとして本件行為やその他の行為を行った とは認められない。
イ術科指導等に関する主張について (ア) また,前記認定の各事実に照らし,本件検査期間中に行われた錆び 打ち及び塗装は,海曹士全員が分担して行ったものであり,本件全証拠 によっても,上官らが,本件検査期間中,Aに殊更単純作業をさせたも のとは認めるに足りない。
控訴人らはAの技能練度が足りなかったなら そのような期間に指導すべきであった等と主張するが,そのような指導 をしなかったとしても直ちに違法であるとはいえないし,むしろ,本件 検査期間中にAに対する本件行為が始まったと認められることからすれ ば,指導をしていなかったものともいえない。
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(イ) 控訴人らは,上官らは,Aに対し,突然未知の分野の質問を浴びせ てAを精神的,心理的に圧迫したり,後輩の前でやったことのない機器 の分解,組立てを命じてAを辱めたりした等と主張し,前記認定の各事 実によれば,上官らがAに職務に関し度々質問をしたり,時には,Aの 後輩や下級の者の前で機器の操作を指示してこれをさせることがあった こと,また,AはB1らに対し,控訴人ら主張事実に沿う旨述べていた ことが認められる。
しかしながら,職務に関する質問を行って理解の程度を確認すること は正当な指導の範囲内であって,これを違法な行為であるとはいえない。
また,術科に関する技能訓練のためには,作業等を実際に行わせる必 要がある場合も多く,また,その際,他の者が同席することは特段問題 となるようなことではなく,むしろ,Aも実習生時代を含め,先輩の作 業を見て学習することもあったものであって,これらの行為が違法であ ったとはいえない。
さらに,Aが控訴人らの上記主張に沿うような発言をしていたとして - 63 - も,Aがまだ習得していない事項について指導することが当然に違法で あったとはいえないし,「やったことがない」作業とか,「未知の分野 の」質問というのは優れてAの主観に係る事項であることを考慮すれば, Aの上記言動によっても,上官らが,殊更Aができないことを選んで質 問したり,作業をさせた等とは認めるに足りない。
(ウ) 控訴人らは,Aのベッドの割付についても主張するが,上記認定の とおり,隊員が使用するベッドについては上級の者,また,先任の者か ら順に上段から割り付けられる慣行であったものであり,三曹で昇進後 間もないAが下段に割り付けられたことは,やむを得ないものであり, 違法とはいえない。
また,Aは自分の割り付けられたベッドが事故死した隊員が使用して いたものであると思っていた可能性があるが,実際にはそうではなく, Aがそう思い込んでいたにすぎない可能性があるから,上官らにこの点 について違法な行為があったとはいえない。
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